【プロアスリート インタビュー】現役パラ卓球選手 土井健太郎さん 

  • 10月 1, 2019
  • 11月 15, 2019
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スポーツパフォーマンスを最大限にする
「食のチカラ」を信じている。

パラ卓球選手として活躍している 土井健太郎選手に
インタビューをさせていただきました!

※記事取材2019年4月

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【プロフィール】
土井 健太郎選手(パラ卓球選手  卓球クラス5 ※車椅子を使って、卓球競技を行うレベル)
平成8年3月生まれ。静岡県出身。
2018年東海大学理学部数学科卒業後、静岡県庁に入庁し公務員として勤務する傍ら、パラ卓球の選手として競技を追求。2020年の東京オリンピック・パラリンピック出場を目指し更に競技に集中できる
環境を求め、2019年4月より株式会社D2C所属のプロアスリートとして契約を締結。2017年12月に行われた国際大会では、個人戦で銀メダル、団体戦で金メダルを獲得するなど、活躍の場を広げる障害者卓球界の若手のホープ。東京パラリンピックで「金メダル」を目指している。
世界ランキングは28位。


趣味は、料理(夕食の自炊やスイーツ、チーズケーキを造りが得意)とドライブ(愛車は、シエンタ)。

【主な大会競技成績】
2017年12月:ドバイ2017年アジアユースパラ競技大会 (個人戦:銀メダル 団体戦:金メダル)
2018年12月:パラ卓球 タイオープン (個人戦:銀メダル 団体戦:銅メダル)
2019年3月:ジャパンオープンパラ卓球選手権(個人戦:ベスト8位 団体戦:優勝)
2019年3月:パラ卓球スペインオープン(個人戦:ベスト6位 団体戦:金メダル)

Q1.アスリートとしてカラダのコンディションを整える上で、気をつけていることありますか?

先天性骨形成不全症という病を持ち生まれつき歩くことができないのと、心臓の弁膜症のため血液をサラサラに保つための薬を常用している関係で、調理不要で、アスリートフードの代表食材「緑黄色や納豆」が食べられないのが残念です。片付け苦手なんで、食べられると楽なんですけどね。(笑)ですから、たんぱく質は、主に生卵等で、補っています。それから、おいしく食べる工夫をして食欲増進につなげています。胡椒やポン酢などをよく使い、自分好みの味付けに整えて食べるようにしています。野菜料理については、生野菜は基本食べないようにしています。炒めた野菜はよく食べます。

Q2.土井さんが「アスリートフードマイスター」の資格を取得したきっかけを教えてください。

最も大きな理由は、大学1年から日本代表選手として国際大会へ行かせてもらえる環境があって、海外では食の環境が異なる中、一人で管理しなければならなかったので、毎日自分で食べるものを選ぶ知識が必要だったので、自分の武器として、知識を身につけたかったからです。

もともと僕は、東海大付属商業高校3年生で大学の進路を決めるときに、小学校から選手として続けてきた卓球競技を続け掘り下げたかったので、自分の競技力向上のために体育学部に行きたかったが、残念ながら車いすの生徒は入ることができず「数学科」に入ったという経緯がありました。
学生時代は自炊しなければならない環境の中、実際自分で料理してみるといろいろ勉強になることもあったので、更に食に興味が湧いてきました。
本当は、大学で競技やカラダをつくる栄養・メンタル等、フィジカルについて学びたかったが叶わなかったので「アスリートフードマイスター」の資格の勉強をして、競技に活かしたいと思うようになりました。学生時代は練習もあり、なかなか時間がとれなかったので取得に至りませんでした。

2019年に入り、今後更に競技に専念できる環境に身を置くため転職することになったタイミングで、学習にあてる時間が出来たので、長年気になっていた資格取得にチャレンジすることが出来ました。
※2019年2月にアスリートフードマイスター3級受講 3月に受験。見事合格されています!

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Q3.この度のスペインオープンでは、決勝トーナメントまで進み、ベスト6。メダルまであと1歩ですね! お疲れ様でした。 遠征先のメニューは、いかがでしたか? 

今回もヨーロッパではビュッフェスタイルでした。
AFMの知識を使って選ぼうと思って、早速食事を見つめてみると、そもそもなんの食材が料理されているのか?が、外見ではまったくわからない料理が多くて困りましたね(笑)
これは、鶏肉なのか?豚肉なのか??(笑)
ビュッフェに表記があればよいのにと思いました。
料理は見た目では、なかなか選ぶことが難しい。味が辛いかどうかぐらいしか見た目ではわからない。
知識が出来ても、難しいことも感じています。

※記者:「これは、何?」 聞いてみることも必要になりますね!!
これからは、英語・スペイン語?!語学も必要かな(笑)!

Q4.パラ卓球選手団の食の環境はいかがですか?

大会によりますが、パラ卓球の場合は、一般のホテルを使うことが多いので、選手だけではないことが多いです。ひと大会あたり選手と帯同できるのは、1人から2人。監督1人・トレーナー1人。次回のスロベニアは大きい大会ですが、プラスコーチ1名で3名。残念ですが、栄養士さんが同行することはほぼ無いので、自分の身は自分で守らなければならない。選手各自でするしかないですね。

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Q5.気になった「スペイン料理」などございましたか? 

パエリアは、地元なので想像以上においしかった。 不味いわけないですよね(笑)
ヨーロッパにいくと、パンの朝食が多いのですが、今回クロワッサン、デニッシュ、クリーム入り、チョコレート入りなど、レパートリーが豊富でスイーツ感覚で選べるパンの多彩な品数は、うれしかった。「ぱっさぱさのパン」だけしかないこともあるので、これは本当うれしかった!(笑)

Q6.遠征の時には、どんな食材を準備していくのですか?
僕は、日本から野菜ジュースを1本と水2リットルを1本を必ず持っていきます。
試合当日は、必ずありますが、練習の際の水が出ないこともあるので。
そういう場合のために2リットル1本。
それと、お米は、α米を3~4袋
水なら60分、お湯なら15分で出来上がるやつです。結構おいしいと思います。海外だからおいしいのかもしれないけど(笑)

それから、食事が食べれないリスクを考えて、カップ麺を持っていきます。容器がかさばるので、レフィル(中身だけのやつ)の味違いで数種類持っていくようにしています。更に一つだけ、自分では、「ご褒美ラーメン」と名付けて、ちょっといい特別なカップラーメンを一つ持っていきます。食べるタイミングは、自分の気分で決めて食べる。試合に向かうモチベーションにしたり、「今日はあいつに勝ってよかった」の祝杯だったり、試合の最終日に「お疲れ様って」もってくるとか、いろいろです。(笑) 遠征の間の楽しみの一つですね。

次回の遠征先(5/3~)スロベニアは、1回行ったことあるのですが、結構料理おいしかった記憶があります。楽しみです。!

※スタッフ:そばとブドウの産地ですね。日本人好みの味があるのかも?おいしいものを見つけたら、報告してくださいね。

Q7.今後学んだ食の知識をどのように活かしていきたいですか?

一番は、海外遠征の武器として使い、自分の為に知識を活かしていきたいと思っています。自分の競技活動が続いていくので、これからは食材の組み合わせだけでなく、「食べるタイミング」を気を付けて、更にパフォーマンス向上につなげていきたいです。

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Q8.競技「パラ卓球」界の現状はどう感じていますか?

健常者の卓球は、伊藤さん・張本さんなど今若い選手の活躍もあってにぎやかになってきてメディアの注目度も高いです。それと比べると「パラ卓球はまだまだかな?」っと思うところがありますが、少しずつメディアや応援者が増えて、「会場キャパオーバー?!」と感じる大会があったり、競技者も増えている事実もありますが、これは、東京オリパラのおかげであると思っています。
パラ卓球の注目度も徐々に高まっているが、東京で終わらしたくない。僕たち競技者は、パリやロサンゼルスも東京の先の大会も目指しています。これから強くなる選手の成長過程も含めて、継続的に応援してほしいと思います。

 

Q9.パラ卓球の見どころを教えてください!

注目選手も様々な方の存在があります。パラ卓球界は、別所君江さんという70才現役アスリートの「バタフライマダム」と言われているカリスマ選手がいます。何度も世界大会をご一緒していて僕も尊敬しているのですが、「卓球をやめるときは死ぬ時!」とおっしゃっていて、選手としてのカラダを維持し続け、ずっと世界にチャレンジされています。競技者として人としての可能性を感じさせてくれる選手のお一人です。

車椅子の卓球は、健常者の大会に比べて、長いラリーやフットワークを使った大きいラリーなどが少ないため、試合のスピードや迫力が見る人にとって感じづらいのかなっと思っています。
でも、その分ボールに回転をかけたり、相手の取りづらいコースを突いたりという技術を巧みに使って戦略を練ります。車椅子の選手は、台から下がれない分、深めのコースを狙って手元にバウンドさせたり、相手の取りにくいコースや狙いを正確に決めるといった技を日々磨いています。
会場の上から見るとよくわかりますよ。そういった「巧な技術戦」を見どころとして、楽しんで頂けたらうれしいです。

目指している選手像としては、世界には大きな体の選手が多いので、この小さな体で技術や戦略で打ち勝てるようなオリジナリティのある卓球で勝利を目指す競技者になりたい。目標にしている選手は、世界で実績がある日本代表選手の岡選手です。

Q10.今後のパラ卓球における抱負や一般生活者や一緒にアスリートフードを学習している受講生に向けてメッセージをお願いします。 

僕は、アスリートフードを勉強したのは、自分のパフォーマンス向上のためですが、全員がその目的でないですね。誰かのためにアスリートフードを勉強している人も多くいますね。
僕自身、今回の講座を受講してみて、知らない知識が沢山あって、新しい発見が多かったですから、是非、資格を取得した人は、知識やアイディアをサポートする方に自信を持って提案してもらいたいですね。

その積極的に提案してくれる姿勢が、アスリートの納得感が得られると思うし、効果的にいい刺激として働くと思います。実際、管理栄養士さんにアドバイスを2週間お願いしたこともありました。食について何もしらないわけではなかったのですが、僕にとっては生活面で良い刺激になった。

そして、皆さんだけでなく、僕は僕なりに食のプランニングを実践しているアスリートの一人としての自分の頑張りで成果を出して「健太郎がやってるなら、やってみようかな?」と思ってくれる人が出るように全力を尽くしたいと思います。これからも、応援をよろしくお願いします。

取材:安藤由美子 

※記事取材2019年4月 ブログ:バナナが大事より転載

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